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コンクリートテスターの開発の背景

近年、コンクリート構造物の老朽化に伴う事故が大きな問題となっており、点検・維持・補修を行うための技術が注目されてきています。 コンクリート構造物を非破壊で検査する技術として、打音検査、リバウンドハンマー(シュミットハンマー)による反発硬度法、超音波法、衝撃弾性波法等の方法がありますが、 費用や簡便性の観点から打音検査とシュミットハンマーが主流となっています。しかし打音検査では検査する人の経験により検査結果にばらつきがあること、 客観的なデータとして記録できないといった問題があり、シュミットハンマーもコンクリートの湿度や表面の状態に影響を受けやすく、他の測定方法に 比べて測定精度が低いといった問題があります。
コンクリートテスター CTS-02は打音検査やシュミットハンマーの測定の簡便性を保ちつつ、測定精度の高いデータを記録できる測定装置として開発されました。 2005年からCTS-02が全国販売され、2006年にCTS-02v2、2011年にCTS-02v4と改良を重ねてきています。
コンクリートテスター CTS-02は今後予想されるコンクリート構造物の点検、維持、補修の現場においての活躍が期待される新しい測定検査装置です。

コンクリートテスターとシュミットハンマーの比較

コンクリートテスター シュミットハンマー
現象 ハンマー打撃 ハンマー打撃
基本原理 反発抵抗力 反発度
要請事項 コンクリートの弾性変形 表面の塑性変形
測定量 機械インピーダンス 反発係数
測定方式 電子計測、加速度計測 機械(バネ)式、反発距離計測
開発年 2002年 1948年
測定精度(コアとの比較) 概ね±15% 概ね±50%

コンクリートテスターの測定原理

コンクリートテスターは加速度計が内臓されたハンマーと測定装置本体で構成され、ハンマーでコンクリートを打撃した時の打撃力波形から機械インピーダンスZを算出してコンクリートの圧縮強度を推定します。
下図のようにコンクリートを完全弾性体と仮定し、質量Mのハンマーが速度Vでばね係数kのコンクリート表面に衝突するとした場合、ハンマーの衝突によってコンクリート表面に生じる変位をXとするとエネルギー保存則とフックの法則から機械インピーダンスZを計算することができます。(下図の式参照)
この機械インピーダンスZ(=√Mk)はハンマーで打撃した時の力の最大値とハンマーの速度の最大値(衝突時の初速度)から計算できることが分かります。ばね係数kはコンクリート表面の弾性係数に相当するもので、弾性係数と圧縮強度の間には理論的な関係はないものの相関関係があることが知られており、 コンクリートテスターCTS-02はハンマーの加速度を計測することで、この相関関係を利用して圧縮強度を推定しています。
コンクリートテスター CTS-02 測定原理

コンクリートテスターによるコンクリートの健全性の診断

コンクリートテスターは上記の測定原理のようにコンクリートをハンマーで打撃することにより、機械インピーダンスを算出し圧縮強度を推定しますが、 そのコンクリートを打撃した時の波形により、コンクリートの健全性を診断できます。

下のグラフはハンマーでコンクリートを打撃した際の時間軸に対する打撃力の大きさを表わしたグラフです。
打撃力波形はピークを境に2つに分離することができます。波形の前半部分はハンマーがコンクリート表面に変形を与える過程で、これに対して後半部分はコンクリート内に蓄積された弾性変形エネルギーが ハンマーの速度エネルギーに変換される(ハンマーがコンクリートから押し戻される)過程です。

コンクリート表面が劣化(強度が落ちている)している場合、波形前半でコンクリート表面が塑性変形するためにエネルギーが消費されるので波形のピークが低くなります。 またコンクリートを塑性変形させる時間が発生するために、ピークまでの時間が劣化していない場合に比べて長くなります。
このことはシュミットハンマーを使った測定でも同様のことが起こるために、打撃のエネルギーがコンクリートの劣化した部分の塑性変形に消費され、反発係数が小さくなる=コンクリート強度の過小評価という結果となります。

一方波形後半はコンクリートの弾性変形エネルギーがそのままハンマーの反発(押し戻し)に消費されるので、弾性的性質を反映した強度指標値が測定されます。
コンクリートテスターは、波形後半部分のデータを解析して強度の推定を行うことで強度の推定の精度を高めています。
この波形の前後半の速度比(色のついた部分の面積比)を求めることでINDXという指標を求めコンクリート表面の劣化度合を知ることができます。
● 波形のピークが高く、立ち上がりが短い = 剛性が高い = 強度がある
● 波形のピークが低く、立ち上がりが長い = 表面の剛性が低い = 表面の強度が落ちている
● 波形のピークが低く、立ち下がりが長い = 内部の剛性が低い = 内部の強度が落ちている
● 複数のピークができる = 複数の剛体がある = 骨材剥離の疑いがある


コンクリートテスター CTS-02 波形データ  コンクリートテスター CTS-02 測定結果画面
STR(強度)/INDX(波形前半後半の比)/STAT(複数ピークの数) の数値よりコンクリートの強度や劣化度が確認できます。

コンクリートテスターのデータ解析

下図のように調査対象となるコンクリートにメッシュを切って各エリアを打撃し、エリア毎の測定データを計測していきます。従来の打音検査でも同様な方法で測定が行われてきていましたが、測定を行う人の主観による判断が大きく客観性に乏しいこと、定量的なデータとして記録できないこと、といった問題が指摘されていました。

コンクリートテスターでの測定はコンクリート面を軽く打撃するだけです。約1秒で測定結果が表示されます。
測定したデータはコンクリートテスターからUSBケーブルでPCと接続することにより、PC内にCSV形式として取り込むことができます。
PCに取り込まれたデータを表計算ソフトで処理することにより、視認性の高い客観的な解析資料を作成することができます。
コンクリートテスター CTS-02 等高線データ
Areaデータファイルを解析し強度の等高線図を作成した例

コンクリートテスター CTS-02 波形解析ツール
波形データファイルを一括して読込み波形グラフを作成するツールを利用して大量のデータを一括グラフ化した例(別途オプション)

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